2017-11

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内蔵足りてない系習作

脱がされるのも触られるのも嫌いだった。だって、中身が入ってない。当たり前にみんな生まれつきで持ってるのが、足りない。肋骨とか、腎臓、肝臓、そういう取っても平気なやつは小さい頃にみんな抜かれて、その分軽くなった体で、ひとには言えないことをする。忍んだり、潜ったり、抜けたり、いつの間にか後ろにいたりする、そのために人並みよりうすっぺらいのを、鎖帷子とか腰当とか、重くって大袈裟なので覆って、隠している。
それを暴くのはひどいことだ。せっかく隠してるのをわざわざ脱がして、腹を触って確かめる。
「や、だって」
男なのに乳首きもちいいとか、そういうのより、旦那の指が肋骨を数える、そういうのの方がずっと嫌だった。
「ね、も、おねが……」
腕で顔を隠す。旦那の手が腹をぐうっと押して、押しただけへこむのが泣きたいぐらい嫌だと思った。
だってそこにはなんにも入ってない。
最初に下腹刺すんだよと教えたのは自分だ。ひとりでいるとこ狙う時にはね、最初にここ刺すんだよ、と触らせた。あの頃にはまだ人並みに備わってた。生まれついたまんまだったから、無防備に旦那の手を取って触らせた。
ここのね、骨の下。この骨がね、中のやらかい内蔵守ってるのの最後だから、この下刺すんだよ。
そしたら息が詰まって声が出なくなるから、仲間を呼ばれたりとか、めんどうが減るから。
最初にここ狙うんだよ、と、槍を覚えたばかりの子供に教えた。俺様に手取られて俺の腹さわったまま旦那は目をみはって考えて、しかし、それは忍びの技でござろう、とまだ甲高かった声で答えた。
それに、どう答えたのかが思い出せない。旦那の手はまだ、ありもしない肋骨を探して腹の上をさまよっている。
嫌だ嫌だと思って下腹がぞわぞわする。腰骨に指が触ると気持ちいいのになんだか怖い感じがした。性器が疼く。
「ね、旦那」
やめてよ、というのが声にならない。旦那の指が、削られて人より狭い腰の骨をなぞる。
声を我慢して息を詰めている固い体に、人並みのものさえ入っていたらもう少し、違ったのかなと思う。触られてもこんなに嫌だったり、ぞわぞわしたり、剥き出しの神経触られてるみたいな感じにならないのかな。かすがみたいに、潰されたり削られたりする前にあそこおん出てたら、こんな惨めで気持いいの、知らないですんだのかな。
そんで、あの時俺様なんて言って旦那納得させたっけ。
「……ふ、」
旦那が腹に息を落とす。
「おまえはさかなか」
「は?」
割と間抜けな声が出た。目を覆ってた腕をずらす。旦那が眉間に皺を寄せて腹を見ていた。
「川魚のように生っ白い腹をしおって」
「え、なに」
「15のころまでは見えておったのに」
ちょっとだけ残ってる骨の付け根を旦那の親指が押す。まるい爪が肉に刺さるのより、削られたあと、伸びてこなかった骨が内側から肉に刺さる方が痛かった。顔をしかめる。確かに13ぐらいだった。あれぐらいの時に抜かれたり潰されたり削られたりして、ただでさえみみず腫れとか腹開けて閉じた跡が残ってる体に、肋骨足りないのがくっきり出てた。それも誰も彼も傷とか持ってる甲賀じゃなくて、奉公に出された先でそれが目立つのが嫌で、15になって背が伸びたぐらいのころに吐いたりするの我慢しながら色々食べたりして肉をつけた。特にがりがりで肋骨どころじゃなくて胸骨浮いてた腹に腹筋つけるとぺったんこだった腹がなんとか、なんとなく普通っぽい感じになって、それが嬉しくてずっと鍛えてた。17ぐらいまで成長期来なくて、背が伸びなかった旦那にさんざんあれこれ言われたけど、肋骨とか、息すごい吸っても浮かなくなるまで頑張ってた。
「えー、だっ、て」
ちん毛の生え際いじられると息が乱れる。
「みっともない、じゃない。見えてたら」
「何故だ」
見下ろしてくる旦那の目が、濡れているからどっかの光を反射して表面だけ光る。
なんで、とか、ばかな事を聞かれたと思った。
抜かれた後、起きれるようになって真っ先に着物まくって自分の体見て、うわ、って思ったのだ。うわ、なにこれ、すごく薄い。
どうしよう。これ、見られたら中身入ってないって一発でバレる。外側は毛が赤かったり顔んとこ入れ墨入れられてたりだけど、中身だけは人とおんなじだったのに。
どうしよう、と思って、明らかに中身足りてないぺったんこの腹見ながらすごく途方に暮れた。これじゃ、夏、暑くても脱いだりとか二度とできない。だって明らかに足りてない。骨んとことか、もとからがりがりだからすごい目立つ。

だから、筋肉付けた時に隠せるってわかったときすごく嬉しかったし、鎖帷子とか、自分用に貰えるってなった時には腰回りとかそのへんすごく厚くした。かすがには再会したとたん何だその重そうなの、とか顔しかめられたけど、どうだってよかった。

だっていうのに、旦那はするときいちいち全部脱がして暴いて、足りてないとこわざわざ触る。
挙句の果てに何で、とか、もう、考えたくもなかった。触られながら考えんのも説明すんのもめんどくさい。
「あー、のね」
目をそらして天井を見た。暗い。けど、月が出てるから障子の向こうがほんのり明るくて、木目がぼんやり浮かんでいる。小さいころ旦那が、顔に見えると言って怖がった模様。
あんたにはわかんないでしょうけどね、という前置きは飲み込んだ。
「見せないで済むなら俺様そっちの方がいいの」
「だから、」
なぜだ、と聞いてくるのを唇に手を当てて黙らせる。唇が、かわいてて、やわらかくて、いいな、と思った。ふにふにしてて気持ちいい。旦那が唇を尖らせて押さえた指を押し返す。
「最後まで聞いて」
「むむ」
うむ、と言いたかったのはわかったから唇から手を離した。旦那が粘膜に光を反射させて、きらきらする白目で見下ろしてくる。
「こことか」
腹を下からなぞりあげるとひゅっと腹筋が締まった。眉根を下げて情けない顔をする。そういうとこが、旦那はめちゃくちゃかわいいと思ってちょっと笑った。
「普通は、押してもへっこまないでしょう」
指先で押す。はちはちの皮膚が指を押し返して、確かな手応えの手触りがある。肉だけじゃなくて、ちゃんと中身が詰まってるってしっかりした手応え。
「ちゃんと骨もあるでしょう」
肋骨引っ掻くようにして触ると居心地悪そうにもぞもぞする。
「俺様ね、そういうの入ってないの。でね」
手を離すとあからさまにほっとした顔をした。それを見て、誰でもあのへん触られるとざわざわすんのかな、と思う。すればいいな、と思った。
中身足りてないせいだと思ってたのが、実はみんな感じる普通の事だったら嬉しかった。
「俺様足りてないの、知られたくないの。見せたくないの。」
当たり前に受け流す。入ってないですよ、って、何とも思ってないって顔で飄々と、驚かれたりするのにうん、って、足りてないよ、って返事する。でもやっぱり、本当は嫌で、だから忍びだからって理由で厚着したり、腹筋つけたり、隠れて気にしてるのを見せないようにしてきた。
それを今更この人の前で晒すのが、いたたまれなくて顔を両手で隠す。
「中身足りてない、っていうのが、やなの」
言ってしまった瞬間すごく後悔した。鼻と口だけが出た自分の顔に旦那の顔が近づく。
ぐす、と鼻が鳴った。それも嫌だと思う。嫌だ嫌だ嫌だ。けど体とか、中途半端に興奮してて、逃げてどっか、便所とか布団部屋とかに隠れて一人でするのを考えたらそっちの方がもっと嫌だった。
鼻息が頬の産毛にかかって、唇に、熱っぽい旦那の唇が押し付けられる。触るだけのくちづけが、動物みたいだと思った。犬とかが、泣いてる時に近寄ってきて鼻面押し付けて舐めてくるのに似てる。泣いたこと自体があんまり
なかったから、そんなにされたことはなかったけど、城の中庭で顔中べろんべろんされて逆に笑ったのをちょっと思い出してうれしいな、と思った。
「ね」
唇を無理に動かして声を出す。
「旦那、すきだよ」
そういうふうに体でなんとかしようとするとことか、すきとかあんまり言うと重みがなくなる、と言って怒るとことか、すごくすき。
ささやいて顔から手をどける。
「すきだよ」
ふうっと、月の上を雲が通ったのかうす青くほの明るい部屋が一瞬藍色に沈んで、また水底の色を取り戻す。
「すき」
続きしようよ、と声に出して背中を起こす。自分に馬乗りになった旦那の胸んとこに唇当てて、ふふふと笑った。
「中身足りなくても気持ちいいとこちゃんと残ってるから」
ね、って口に出して、皮膚くわえてきゅっと吸う。すぐ消えるように跡つけて、唇離して、旦那のはだかは好きだな、と思って、なんだかすごくむらむらした。



劇場版さっけの腰がかすがちゃんより細かったのが一番の衝撃だった。

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