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2019-04

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星落ちて人の夢吸う

死んだらいいんだろうな、と思う。逃げられて、美化される。死ぬのに死んだ後のことを考える。屋上で。
世界の終りについて考える。空が曇っているから。夕方だから。夜が来るから。
夜が昇ってくるから。

例えば生還した犬について誰も名前を知らない。だけどライカ犬の名前はクドリャフカ。死んだ犬の名前ばかり知られている。
誰かに会いたいと思う。友人の顔を頭の中に並べる。誰も会いたくないと思う。誰も違うと思う。
だけど誰かに会いたいと思う。携帯を開く。連絡する相手を見つけきれずに閉じる。
地球は今星雲が爆発している時刻から100年。星の光が今頃届く。起きていても観測できなければ起こっているかもわからない。見つけた頃には遅すぎる。世界の物理法則。
フェンスに手をかけて地平線の先まで広がるビルの先に宇宙エレベーターの姿を夢想する。校旗が風に煽られてせわしなく、うるさく鳴る。足元にプランター。蹴り飛ばしてやりたい。だけどきっと土が重くて足のほうを痛める。
右目の上を前髪が掠めて痒い。

片目の宇宙飛行士。
自分の夢が叶えばそんな陳腐な取り扱いで雑誌の上をにぎわすのだろうなんて夢想している。努力する前に成功してしまった時のことを考えて馬鹿にして笑う。
身長が伸びない。
夜早く眠れば成長ホルモンが出る。早く寝る。早く起きる。ロシア語のラジオを流しながら参考書を広げる。始発で部活の朝練に向かう。母親はずっと起きてこない。弟の弁当と、その横に申し訳なさそうに自分の弁当が冷蔵庫の中にあるのを取って出ていく。駅であくびをしているサラリーマンの横で、朝が来るのを眺める。絢爛豪華な薔薇色と白の織りなすマーブルを。

朝が好きだ。太陽に暖められる前の空気の匂いはぴりっとしていて、寝起きの体の中を一巡りして出ていくまでの間に何か、老廃物とかそんなものを集めて持って行ってくれる感じがする。肺が綺麗に浄化されるイメージ。
どうして宇宙になんか行きたいんだと家康は言う。
年下で五体満足の生徒会長。AVとか見れなそうな健全ヅラしたアホ。
しね、とたまに思う。しょうがねえな、としょっちゅう思う。取り返しのつかないことをすればいいと思う。
誰かに対して。俺に対して。
あのお人好しがそれだけじゃ世間はわたっていけないのを知るのが見たい。
酷いことを言って傷つけてやりたいのかも知れなかった。善意の塊を見ていてそうじゃないだろうと苛つく感覚。
綺麗事を信じていられないから苛立つ。家康は悪くない。
庇護してやりたいとも思う。他人に何かしでかしてしまってめたくそに傷つく前に俺で気づけばいいと少し、思っている。
待ち構えている。あいつが俺のことを思いやりで殴打するのを。そうしたら全力で噛み付き返してずたずたにする。
家康が憎いわけでもない。ただ、見ているとごくたまに、しねと思う。そうして、そう思う自分を嫌悪する。

兄でいられればよかっただろうと思う。他人だから綺麗に見えるのだ。こいつが俺の弟だったなら心置きなく足蹴にして泣いたら慰めてやって、喧嘩のやり方でも教えてやっただろうと思う。
身内だったらどんなに大事にしてやれただろうと思う。
だけど他人だからやりきれない。慕われる事に優越を覚える自分。たまにこいつを妬ましく思う自分。こいつの両目に理由のない憤りを持つ自分。

真空の宇宙に放り出されたいと思う。

こいつをかわいそうだと思ったりする。母親のいなかった子供。養子に出された先をたらい回しにされた、人当たりばかりよい子供。本多忠勝しかいなかった子供。それを揶揄されて否が応でも独り立ちをしなければならなかった子供。
だけどこいつの不幸と俺の不運は無関係だ。

何も考えたくない時、思考の逃げる先は常に宇宙だった。自分の上空にも足の下にも広がる真空。音もなく酸素もなく些細な事故が死に繋がる異世界。
いつしか思考の逃避先は真冬の冷水だとかそういうものと結びついて、宇宙は自分への罰に似た。
宇宙。考えて奥歯を噛み締めてしまう癖がついた。目を閉じる。世界の終りについて考える。100光年先の世界で、星雲が頭上で、もしくは足の下で、あるいは地球全体を爆発の光で包み込みながら長い生涯を終わらせている事に思いを巡らせる。
かつて愛されて、見捨てられた。母親は弟に夢中だ。そのうつろいを諦めながら誰かに愛されたい自分がいる。
愛されたいのだと、惨めだと認めたくない。家康は恐らく俺のことを慕っている。だがその善意は俺を地球に留めたがる。

死んでしまえば楽なんだろうと思う。自分を愛さない母親を殴ってやりたい自分がいる。手のひらを返されたことを納得できていない自分がいて、それを女々しいと感じながらまだ悲しい。
死んでしまえば悪いのは母親になる。俺は全てを忘れられる。宇宙飛行士を目指していました。素晴らしい夢だ。非業の死で頓挫した夢に終わる。叶わない可能性というのは潰れる。精一杯出来る限り努力しても届かない、その前に世界ごと終わる。
だがそれを自分は許さない。
足掻き続けないとならない。自分のために。植え付けられた道徳に歪められた精神が強制力を持って逃亡を許さない。
考えては叩き潰し、胸の中に真空を抱えて、叶うあての持てないまま、右目というマイナスを抱えたまま苦しみながら努力する。やらなかった明日を考えて一切の妥協も先延ばしも許さず高めるためにいじめ抜く。

そういう自分だから家康に慕われたことも知っている。
煩わしいと思いながらまとわりつく家康を許し、そして、あいつが俺の地雷を踏むのを待っている。
俺で思い知れと残酷な気持ちを抱いている。
庇護欲だろうとそれについて断じて日が沈んでいくのを見ていた。
屋上は寒かった。
宇宙基地はどうだろうと叶う前の夢の先をまた、考える。
月に行きたいわけでもない。
火星を見たいわけでもない。
土星木製水星、太陽系にも興味はない。

ただ、宇宙空間に行って、そこで無線を切ってみたかった。

明後日は流星群で、家康は俺に付き合うと言っている。
一人ではなく流れ星を眺めてどうせ願いの話でもするんだろうと思ったら馬鹿らしすぎて寒気がした。




金環日食の日に私中国出張なんだけどサングラスの内側に日食グラス仕込んでたら上司に怒られたプンスコ。

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