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2019-01

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うそが本当に

いつまでも子供であることはできる。
あるいは大人になることが出来ないまま育ちきる事もできる。
もしくは子供のまま大人を装って穏健に微笑むこともできる。
スカートが翻った拍子、ちらりと見えるペチコートのレースのように子供は現れる。
雨の日に出る幽霊のように。
住宅地で夕方に聞こえるピアノのように。
懐かしさを伴って馬脚を露わす。

主のあれは幾ばくか、恋であった。大半を直感と執着が占め、その内に美化と失望と苛立ちを伴い、ただそれを思慕が凌駕する。失望による失速は募る感情にブレーキをかけず、戦国の距離と情報や移動やそういったなにもかもが物理に比例する遅さが、隔たりが双方の勘違いを都合よく加速させた。
邂逅の頻度が高ければあんなことにはならなかったのではないかと今でも思う。
互いに自分の妄想に振り回されて、不幸にも好敵手と認めてしまった。

どちらが上であった、不釣り合いであったと言うわけではない。俺とてあの時主人の傍で生きていた人間であるから鳥瞰は、今となってすらできない。
ただ推測して悲しむだけだ。
隅田川の上を渡る風は今日はぬるい。
「ただいま」
「ああ」
重たい金属の扉を猿飛がそっと閉める。廊下を歩いてくる裸足の足音。
夕方だった。電気を点けないでいたから部屋の中は重たい橙と足元にわだかまる薄い闇であたたかい隠れ家のようだった。
ただいま、ともう一度猿飛が言って俺が寝ていたソファーの足元にそっと座る。
「今日はね、旦那を駅まで送ってきた」
「おう」
「あしたもね、迎えに行ってがっこうにいくよ」
「ん」
小さい声で言い交わす。
くるぶしに猿飛の髪が当たる。染めていないのにきしきしとする髪だ。うつぶせで寝るから起きた後、シャワーを浴びなければならないのを密かに面倒がっているのを知っている。たまに俺に抱きついて寝ても、夜中に眉間に皺を寄せて離れていく。
「おなかへった……」
猿飛が床に倒れこむ。
起き上がって見下ろすと腹の痛い子供のように横向きで丸くなっていた。
開けた窓から途切れ途切れのピアノの音とカレーのにおい。
「さえこさんは」
「おかあさん?」
くく、と短く笑った。
「一人暮らししてるって信じてるからもう実家とか、ないし」
「あー」
結局例の男のところに転がり込んだのか、と察して頭をかく。そうなれば確かに、猿飛の実家とも言えるあの部屋を契約し続けるメリットなぞない。どうやら曲がりなりにも猿飛が小学校から住み続けてきた実家はもう他の誰かの部屋らしかった。
「ねー、どうしよおね」
出てく、と宣言してスポーツバッグ1つで部屋を飛び出た方もどうかと思うが、それをいいことにさっさと契約を打ち切って移り住む方もどうなのか。猿飛は床で丸くなっている。春先のぬるい風に吹かれて、レースのカーテンが揺れる。
川の、真水のなまぐささがほんのりと部屋の中に運ばれてくるのと一緒に、外では花でも散っていそうな乾いた匂いがする。
いかにものどやかな夕方だった。
「ゆか、つめたくって気持ちいい……」
猿飛が寝返りを打つ。
俺は頭の中で考えを巡らせる。それでも親に言ううまい口実が思いつかなかった。
「ねー、どやっておじさんおばさん言いくるめるか考えてるでしょ」
仰向けになった猿飛がにやにや笑って俺の手首を掴んで引く。
「いーよ。」
口元に持っていった手首に目玉を伏せて口付ける。
「そんなのあんたはぜんぜんしなくていーよ。ていうか、おじさんおばさんだいじょぶでも、おねえさん、だめでしょ」
あのひとちょう頭いいもん、と拙い声が言った。唇はやわらかくて、猿飛が笑うたびにあつい鼻息が肌の上を撫でた。
「だいじょーぶだよ」
俺の手を捕まえたまままた寝返りを打つ。引っ張られて、大人しくソファーを降りた。猿飛の体をまたぐ。
「死にたいとかおかしいね」
見下ろした猿飛は本当に子供に見えた。享年24。思えば川中島で見かけた時これぐらいの年齢のはずだったのだ。
ずっと、印象がまるで変わらないつもりだったが、それもまた戦国時代の距離と時間の隔たりに依るものだったか。
まるくなって目を閉じている姿に、腸を引き摺り出されて検分されていた姿を思い出して目蓋を閉じる。
どうにもやさしいめまいがした。

九度山蟄居の前のことだった。真田に兵を動員させまいと試みた徳川にとって、雑兵ごときでは万に一つも仕留められぬ猿飛や真田は一人だけでも脅威だった。
生き残ったものの中でも猿飛を差し出すよう徳川は名指しで言い渡した。

渡せば四肢を裂き、五臓六腑を引き出して晒す、と明言して求めた。
猿飛は笑ったと噂で聞いた。
たかが忍びを大名首扱いじゃん、おれさま凄いねえ、と笑って真田の手を離れたと聞いた。
その一報が届いた時、主は苦虫を噛み潰したような顔をした。そうして俺に、江戸に屋敷を構えようと思う、と切り出した。

馬を乗り捨て乗り捨て着いた江戸で徳川は黙って俺に地図を書いた。
徳川のところで借りた若駒を駆っている最中、晴れているのにざあっと通り雨が頭の上を通り過ぎて、もう駄目なのだと悟りながらも奥歯を噛んで馬の腹を蹴った。
息を切らして着いた刑場では事がすっかり済んだ後で、あっちだと掘っ建て小屋を示された。
むしろをめくって入った小屋の中は、生臭いかと思ったが、雨が上がったすぐ後だったせいか、松の香りが強くした。
こもの下が膨らんでいて、片手を顔の前に立ててからめくると、口をかっと開けて苦悶に歪んだ顔がまず目に入った。
それから、前かがみになって横になっている体。引き出された五臓六腑はなんだかつるりぬるりとしてつやつやしていた。
肋骨がいくつか足りなかった。肘から腕の骨が飛び出ていて、妙なほど綺麗に白かった。暴れないよう縄をかけられた痕が見て取れたが、傷口は肉の筋にそってまっすぐで、さほど暴れず神妙に嬲られたのだとわかった。

真田のところの忍びは主のために命を捨てたのだと、刀を取ったことのあるものであれば誰にでも解る死体であった。
そのくせ徳川の体面のために苦しんだ顔だけはきちりとして首を落とされたのだとすぐにわかった。

目玉に涙の膜が張ったが、慈しむ気持ちが溢れてただ微笑んだ。
俺たちは同類だとそれまで生きていた中で一番強く感じた。

ぬるい風が俺達の上を吹いていく。猿飛の、俺の手首を捕まえていたあつい手のひらが力を失ってずるりと床の上に落ちる。
雨の振りそうな花曇りだった。木蓮もこぶしももうそろそろ散るころで、れんぎょうだの雪柳だのもじわじわと花を落としていく、沈丁花の匂いが薄くなって、代わりにつつじがほころびかける、そういう時期だった。
4月の新生活に向けた新居探しも一段落している頃だろうから、安い家を探すにはもってこいだと思った。
「なあ」

携帯が鳴った。

俺のと猿飛のと両方だった。
「うそ」
猿飛が短く言って飛び起きる。
俺は頭をかきむしりたくなった。知っている。わかる。他のと違う着信音はひとつだけだ。呼び出しの音だ。
お互いによくわかっている。
猿飛がベランダに消える。俺は机の上から携帯を拾い上げる。

大事である人間ほど仲が深まるにつれ最初を思い出せなくなる。政宗様との最初。真田との最初。猿飛との最初。
いつだっただろう。何故だっただろう。どうしてだっただろう。ただ思いを募らせた瞬間ばかり降り積もる。
電話の向こう側で主は明日の朝練の時間が変わったという話をせかせかとして、内容に安堵してしまう。
メーリス一つで回せばいいものを、と少し苛立って、ベランダの猿飛を盗み見る。
レースのカーテンの向こうで少しぼやける姿に目を凝らす。
柵に肘を置いて、うつむきながら笑ったりしていた。

かわいそうだと思う。自分のことも、猿飛のことも。
物質主義とも言われるこの世は、便利になって精巧になって、昔に比べてなんだか随分と偽物が増えた。
100円均一の模写に囲まれていても生活は出来て、忘れられる二人組の相手を確保して暮らしても支障は出ない。
快適な孤独が増えていくのに、まだ戦国を引きずって、それを本物だと信じていたい自分たちがいる。
主はどうだろうか、と思いながら電話の向こうの声に相槌をうつ。
まだ主従の契りを盲目的に。
この関係は何か特別な本当のものだと。

考えこんだら頭の芯に近いところが痒くなるような錯覚が起きてその場で強く足踏みでもしたくなった。
とっさに眺めた猿飛が右手で額を押さえて、どうやら笑う。肩から力を抜いて首を振る。表情は見えない。

携帯を投げ捨てたくなって泣きたいと思った。俺も弱くなっている。猿飛も幼くなっている。
歳相応なのか、あるいは。
わからないと感じて、途方に暮れる。
「Ah,それとな、話は飛ぶんだが真田の件だ。お前、あれをどう思う」
手元の紙に明日の開始時刻を書いた後、意味もなく線など書いていたら唐突に主が地雷を踏み抜いてシャー芯が折れた。
短くなって転がった芯の姿に俺たちを見た、と何の根拠もなく感じた。



I blew it!
But whatever,finally reserved the ticket of live viewingイエーIn spite of the date is one day before of my business tripヤホー
そんでRecently cause of these short stories I rattling think about how they think or how they express.Just to him,he's awesome,but for him,He's disgusting, on the other way,He's so ideal cause of he never look behind,and so on.
If memory can't be memory,especially for him it might be painful to accept.
Like so on,in nowadays,or ON nowadays,their experience is mere impediment.
Since, if talk about "On their whole life",it involves before their death, but they live now. Very confidential and complicated. Sounds beautiful,that's all.
で、どーでもいいんですけどLive on 佐助する小十郎さんくっそエロくないスかイェイイェイ。
どーしよもなくえーごがしゃべれないのでちちびんたされたい、をうまくえいごでいえない。ちちびんた。flapped by titとかじゃないちちびんたはもっと素晴らしいものだ

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