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2019-01

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中毒のくせにうんざりしてる

「また煙草吸うの」
「ああ、うん」
「ふぅん」
それきり、黙りこむ。ライターで炙られた紙が焦げる匂い。フィルターを噛むのは始めてからずっと治らない癖だ。
「旦那さ」
部屋の隅にランドセルが転がっている。だいぶ草臥れた、赤いランドセル。
「おれさまともうセックスしないの」
「そんなことを」
言われてもなあ、と思いながら言葉を切って煙を吐いた。開けた窓の網戸の隙間を通って透明に消えていく。
五月の空は高い。見上げてから目を戻したら昼間だからと電気を付けていない部屋の暗さが際立った。
「お前は」
部屋が暗い。しぱしぱとまばたきをして佐助の膨れている頬を見る。白桃のようだ。子供の頬。
「したいのか」
結局間抜けな問い掛けになった。いつもそうだ。なんとなく、決められない。それに愛想を尽かして妻は随分前に出て行ったし仕事場でも俺は信用がない。
それを知った上で放っておいている。そのぐらいにはあれこれに執着も持てないでいた。
「したいよ」
短い、はっきりした返答だった。暗い部屋の中、ソファーの足に背中を預けて体育座りをした佐助が敵意を孕んでいるような目でこっちを見る。
「俺は旦那としたい」
ぼろぼろによれたTシャツの首周りを俺は見ないふりをする。穴が開いて表面の剥がれた、5年ぐらい前に流行った女児向けのキャラクターが笑っている佐助の靴にも。毎日顔を見せる佐助の、3日に1度しか変わらない服装にも。なにもかもに目をつぶる。
背中を預けた窓のサッシが硬い。
「は」
笑って吐き出した毒まみれの白が明るい外へ逃げていく。
俺はお前になにもしてやれない。前に服を買って着せて帰したら頬を腫らして翌日顔を見せた。脱がせた服を捨てるな捨てるなと言った理由をその時知って、殴られるのを知って俺の与えた服を着て帰ったのかと、ああそうか、とぼんやりと納得した。男の佐助に誰のお下がりか知らないが赤いランドセルを与えるあたり金のないなりにぼんやりした親だと思っていたらそうでもなかったということだ。

俺の与えた服も首周りが大分くたびれている。あの服が無事だったのは帰り着く前に脱いでどこぞに隠した為ではないか、あの日佐助が受けた折檻は裸で帰ったことに対しての折檻だったのでははないかと俺は疑っているがどうせ尋ねたところで違うと返ってくるのはあきらかだ。

「俺が捕まるな」
「……俺様が誰かに言うとでも思ってるの」
「言わぬさ。お前は。」
なげやりに煙草をふかす。おそらく、金の匂いにばかり目ざといのだろう親のことをにおわせたのを聡いお前は気付いて口を噤む。膝の間に埋める顔は目ばかり大きい。
「……あのさ」
「なんだ」
「旦那がさしてくんないから言うんじゃなくてね」
珍しく、歯切れが悪い。おやと思って見た先で常になく佐助が俺から目をそらす。
「前から言おうと思ったんだけど、俺様ね、なんていうか」
言葉を切って額を合わせた膝に当てる。子どもらしい丸い膝。撫でてやりたいと思いながら煙草を網戸に押し付けた。まるく、プラスチックの緑が歪んで穴が開くのをフィルターを摘んだ指先で感じながら佐助を見つめる。
「母親って、もっといいもんだと思ってたから」
「うん?」
「旦那に、あれこれひどい事を言ったなあと思って。」
「……まあ……、気にするな」
言葉に詰まった。そしてありふれた相槌でまたごまかした。なにか言わねば、そう思ったあまりに適当な言葉で濁してしまった。100年も昔に俺に、いないよりはましじゃない、そう言って笑ったお前の顔が蘇る。網戸の向こうに火のついたままの煙草が落ちる。俺だけが覚えていると思って半分、忘れかけていたような事をお前は引きずっていたのか。ずっと言おう言おうと考えて、いたのか、もしや。
羞じた風情でお前がぶるりとひとつ、大きく肩を震わせる。首周りのほつれたTシャツがずりおちて二の腕に引っかかって止まる。
急に何かが焼き切れた。
こらえきれずに立ち上がって、影のせいで冷え切ったフローリングを踏む。たったの三歩でお前の傍に辿り着いて、膝の間から顔を上げて俺を見上げたお前がなんだか泣きそうな顔をするのに胸が潰れる音を聞いた。
「だんな」
目線を合わせるために膝をつく。だんな、とかすれた声が声にならないつぶやきを発して、だけど口の動きでそれがお前が俺を呼ぶ言葉だと考えずともわかった。目をつぶって目尻を下げる仕草。泣く、とわかって腕を伸ばして抑えつける勢いで頭を撫ぜた。うっかりするとシャンプーという言葉すら知らなそうな髪を指先で梳いてもつれをほぐす。
「さすけ」
目尻に唇をつけると薄い塩味がした。煙草臭い、とお前が泣きながら体をくねらせる。
「来週の土曜、泊まりの用意をしてこい」
ささやいた。目を丸くして佐助が俺を見る。
「いいの」
「親にはうまく言い抜けて来いよ」
「するよ。絶対する。いいの。旦那、ほんとに」
「ああ」
短く答えてこめかみに口をつけた。多分お前は子供扱いをされるのに大声で抗議をしてこんなはずじゃなかったのにと落胆するだろうが、それでも一緒に飯を作り抱えられて眠るのに、きっと、頼むから、幸せを
「さすけ」
俺はお前に会って初めて懸命という感情を取り戻したかも知れない。
言葉もなく喜ぶお前の脇の下に腕を差し入れて足の間に抱き寄せる。腕の中の子供はかなしいほどに軽い。


年齢逆転転生考えてたら戦国完全燃焼しすぎて賢者モード三十路マダオ真田と戦国からテンションも立ち位置も変わんないさっけを受信したので。佐幸ですよ。佐幸ですよ!!!!さなだをしあわせにしたくてたまんないさっけを幸せにしてやりたくなるさなだもたまには!!いいじゃない!!!
というたったそれだけのパッション

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