2017-11

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空なんか青くて

まるでつくりものみたいだ、と思った。これが現実ならもっと茫然自失になるとか、取り乱すとかあるだろうに、自分の足の裏が地面を踏んでるのなんか感じちゃってて、冷たい風に吹かれた耳が凍えるのを通り越して痛くなっている。視界は明瞭で、歪まなければ暗転もない。喉の奥から絶叫すら出ない。ただ現実が目の前にあるだけ。それも、現実と認識出来る現実が。
ぞっとするぐらい自分が冷静だと思った。むしろ現実だと受け止められる事に戸惑ってすらいた。
意識して、一つまばたく。手のひらを、握って、開いて、足踏みをする。冷えてはいるが、手足も竦んでいる事はない。普通に、自分の意志に従って動く。
一歩、踏み出した。にち、と湿った音。昔、道路工事の現場近くでふざけていて、まだ熱いアスファルトを踏んで怒られたときの音に似ている。そう思って唐突に小学生の頃を思い出した。今の空気とは似ても似つかない、夏の空気。思い出を振り払ってもう一歩、踏み出した。じゃり、と乾いた音。足を持ち上げる。さっきまで足があった所、乾いたコンクリートの上にローファーの足跡。

もっと明るい色だと思ってたなあ。それが感想だった。血糊ほど鮮やかに赤黒くもない。夜明けの薄青いような肺を清しく綺麗にしてくれるような空気の中、白々としたコンクリートに残るのは光沢もなくただ、掠れた部分がわずかに赤いだけの黒色。
は、と吐いた息は白かった。手を握っても指先がかじかむ。風が強かった。びゅう、と耳元で音が聞こえる程に強く吹いては僅かに間を置いて、何度も何度も顔に冷気を叩きつけてくる。屋上だからかな。ぼんやりと思う。声を出したらよく通りそうな雰囲気だった。東の空は、あれを茜色というのだろうか、薔薇の花びらを春の光に透かしたような薄桃色。綺麗だな、と素直に感想として思う。
ただ、屋上には光が届いていなかった。両側にそびえるビルのせいだろうか。ほんのりと青色が足元に沈殿しているような空気。腹の底から冷えるような日影で冷えきったコンクリートの静かな匂い。
足を止めてしまえば、声を出すのがためらわれる程に、ビルの中のエアポケットじみたここはしんと静まり返っていた。
べたべたして気持悪かった血はすっかり乾いてぱりぱりになっている。手を動かせば引き攣れるような感覚があった。指先を擦り合わせればぱらぱらと粉に、或は消しゴムのカスのようになって次々と?がれて足元に落ちる。
「は、は」
笑った。口から、白い息が固まりになって断続的に、吐き出されては消えていく。目を閉じても、開いても、何も変わらない。さっきまでと地続きの現実。
「静雄さん」
心の求めるままにここにはいない人の名前を呼んだら涙が落ちた。凍えた頬を伝って熱い。濡れた皮膚に冷たい風が触って痒い。自分のならともかく、他人の血がまだ残る手で拭うのも嫌で、それに濡れた場所を触って顔に血がついたらどうしようと迷う。

後ろを振り返る勇気はなかった。
心細くて、寒くて、空はどんどん明るんで行くのに隣りのビルの壁を見上げれば暖かそうな光に照らされているのにここだけがずっと暗くて寒い。屋上という高みにいる筈なのに世界の底にいる気がした。
ここには一人きりで、誰も来ない。そんな錯覚。寂しくて、冷気が肌にも心にもしみる。目を閉じて、上を向いた。風が僕の喉を打って通り過ぎて行く。
「静雄さん」

僕はここだ、と呼びたかった。静雄さん以外は誰にも来て欲しくなかった。正臣にも、園原さんにも。いっそ両親にすら。ここに来て、僕が触れない濡れた頬を冷たい手で無骨に拭って、ぶっきらぼうな声で低く、「どうした」と尋ねられたい。まったくふざけた甘い幻想だ、自分で笑うのに心の底から望んで止められない。

風が強かった。冬の日の朝だった。夕食後に送信ボタンを押して、真夜中に家を出て、丑三つ時に物陰で肉食の獣じみて息を殺して、明け方に狙いをすませて、夜が明ける頃に飛び出して、太陽が顔を出した途端に普通の人生を失った。たった一本の筆記用具と、いまも鈍く痛むこの二本の腕でもって。

また風が吹いて、僕は不意に、中学生の頃に涙した歌の一節を思い出す。気持の向くままに乾いた唇を開いて、がさがさの唇を動かして、切れ切れのメロディを僕の体にぶつかってくる風の中に放り出す。呼吸をする度に喉まで冷えた。なんだか無性に人恋しかった。

後ろで声がする。
僕はゆっくりと振り返る。小さな、血だまりとも呼べないような血だまりに手のひらをついて、僕の大好きな人が蛇蝎の如く嫌っている、綺麗な男が身を起こしている。僕が会いたくてたまらない、あの人を見る時と変わらない目で僕を見ている。
それを見て思った。

早く家に帰って、熱いシャワーを浴びたいな、と。


スクイズのスクショを久々に見てたらダラーズからシズちゃんが抜けたりあんなんなっちゃった原因を臨也さんに見出してフルボッコする帝人きゅんとかヤンデレじゃね?とか思ってときめいたけどそうでもなかった。あと前後関係を考えたら中二病過ぎて絶望した。

とりあえずクロスデイズはどういうことなの……

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