2012-04

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噛み癖ある魔理沙と不感症アリスでマリアリ

自分の唾液が肌にできた窪みに溜まるのをただ眺めながら開いた口の中に空気が入ってきて乾くのを感じる。
のどが渇いていたせいか唾液は長く糸を引いてから、ぷつんと切れた。
アリスの肌に蜘蛛の糸のように唾液の糸が貼り付く。
「痛いか」
低く尋ねて、今の自分はまるで幽香を腐らせたような生き物に見えるだろうな、と思った。
「痛いわよ」
ベッドについた両腕の間に、人体模型のように横たわったアリスが言う。
「そうか」
ほっとして、腰骨に指を滑らせる。
熱くならない肌を舐めて、噛んで、だんだん、萎えていく。
「さわって」
アリスの指は冷たくて、ぬる、と入ってくると妙な異物感があった。日向で解けたバターに、日陰に置いておいたバターナイフを入れているようだと思う。まとわりついた粘液をアリスがシーツで拭う。
汚いと思われていないか、などと浅ましく怯える自分がいる。
気がつくと口を開けてアリスの肉を挟んでいる。吸ったり舐めたりではなくて、臼歯で、狐がにわとりを捕るときのように深く、深く咥え込んで何度も咥え直してはきつく噛んで噛み跡をつける。肩だとか、二の腕だとか、くるぶしだとか、首筋だとか、内ももだとかに。

アリスは痛がらない。自分の、八重歯になっていて人より鋭い犬歯が深い窪みを残しても声すら立てない。身も捩らない。
まるで逃げようとしない。押し倒しても。噛んでも触ってもぴくりともしない。ただ、そこに横たわって、まばたきをしたりして、天井を見たりしている。

好きかと問えば好きだと答える。
脱がせるときには私のブラウスに手をかけて、ボタンを指先で引っかいて外して、服の下に潜らせた手を背中にかけて引き寄せたり、そういうことだってする。してくれる。
だけれど脱がせてしまうともうそこにあるのは荒涼とした砂漠のような無反応で、悲しくなって寂しくなる、と訴えても磨かれたガラス玉のようにぴかぴかした潔癖な目が惨めな自分を映して、終わる。
そういうことがよくわからないのだという。
感じる、とか、恥ずかしさを押し殺して話した時、少し首を傾げてしばらく考えた後、そう言った。
噛まれた後がじんじんする、とか、後で痒くなる、とかはわかる。けれど、背中を触られてぞくぞくする、とか、肌を合わせて興奮する、とか。そういう感覚がわからない、と。
初心なのかと最初はそう思っていた。そういうことを経験したことがないからどう反応したらいいかわからない、感覚について言葉にうまくできていないだけではないかと。けれど違った。

アリスはそういうことに関して魚よりも不感症であった。いくら触っても戸惑ったような顔をする。体もちっとも反応しない。
私一人ばかり興奮して終わる。
それでいいのか、と泣きながら尋ねたりもした。事が終わった後、不意に気持ちが高ぶってむせび泣いた勢いで。
アリスは私に乱された衣服を肩に引っ掛けたまま、ベッドの上に座り込んでなんだか呆然と私を見ていた。
無防備で、暗闇に先端がももいろの乳房が光るように浮かび上がって、おそろしいほど扇情的な姿だった。
「だけど魔理沙は気持ちいいんでしょう」
わからない、という壁の向こう側で清潔なアリスが私を許す。
とてもたまらなくなって顔をおおった私の腕を掴んでアリスが私を引き寄せた。
指が肌に当たる。肌の下の脂肪を感じ取る。その柔らかさ。本来なら敏感なはずの先端に私の指が当たる。

気付いた時には噛んでいた。襲いかかりながら、何故かレミリアを思い出した。
ぎゅう、と噛むと、アリスがそこにいる、という感じがした。痛いわ、とアリスがつぶやいて、痛いか、と咥えたまま呟いた。痛いわよ、と私を安心させるようにアリスが言った。なおも深く咥え直すと、アリスの肌を私の唾液が伝った。
だらしなくシーツの上に唾液を滴らせながらアリスの首筋を咥え込んで頭を擦り寄せたら、寂しさが少し癒えるような気がした。

山の中に深い淵がある。昔はそこに大きな柳が生えていたのだという。
それが、寛永の頃に大雨で流されて出来たという淵だ。大岩の下にぽかりとえぐれていて、夏の晴れた日でも陽が届かない。近づけば濃い水の香りがして、緑とも青ともつかない水が涼々と湛えられてそこにある。
雨の日にそこまで散歩をするのが好きだった。傘をさしてぬるぬると滑る白い岩の上を淵の方まで下っていく。
大岩の下は半球状にえぐれていて、淵のほとりまで近寄れば雨宿りができる。
そこまで歩いて、傘を畳んで、雨の音、匂いを全身で感じながらグリモワールをぱらぱらと読む。
静かで、落ち着いて、雨でどうにも部屋の中が暑くて集中できない時の気分転換には最適だった。
今日もそうしようと思って、人形の頭蓋に塗るパテを捏ねていた手を止めて家を出た。ぼうっとした頭が冷たい、水分をおおいに含んだ空気を吸ううちに冴えてくる。軽い頭痛も消えてきた、と思って淵に向けて下っていく中、ぱしゃん、と水音がした。
ぽつぽつと降る雨が落ちた音ではない。なにか、水風船でもはじけた時のような音だった。
傘を傾けて淵の方を覗く。
緑色の目がぱちりとこちらを見上げたのと視線がぶつかって、とっさにお互いがどぎまぎする。それで、お互い似たものだとわかってふと破顔する。アリスは軽いトロットで淵までの道を駆け下りた。
傘を畳んで岩の下に素早く入る。
「菜種梅雨ね」
「へえ、下の沢にはもう咲いているのか」
「満開よ。上ではまだなの?」
見た限り彼女は河童に見えた。山の妖怪だ。人喰いの妖怪だが、こちらはもう人間ではなくて魔法使い。向こうもすぐにそれをわかったと見えて、かけた声に気軽に応じてみせた。
「まだだね」
答えて、鼻の上に皺を寄せる。
「あら、嫌そうね」
「あの黄色は目に毒でね、見ただけでくしゃみが出る」
「わからないでもないわ」
川沿いに煙のようにもうもうと咲き誇る黄色に思いを巡らせて肩をすくめる。
霊夢なんかは食べられるからと好んでいるし、アリスは川のそばに住んではいないからたまに見かけて春だと思う程度だが、毎日、雨でも閉じないあの黄色に囲まれていては確かに辟易するかもしれない。
「人形か、あれ?」
「ええ、そうよ」
気づくと後ろについてこさせていたオートマタが泥道をえっちらおっちら降りてきていた。指先を一振りして上海と蓬莱を助けに行かせる。雨の日の二足歩行はまだ難しかったかもしれない。関節に泥が詰まっていないかしら、と苦く思いながら運ばれてきた人形を抱きとめる。
「面白そうだな」
「そう?」

中のぜんまい仕掛けをおおいに面白がった彼女は河城にとりと名乗った。
雨の日には皆と浮かれて大騒ぎをするのが定石なのだが、たまに一人になって次の発明について煮詰めたい時などにココに来るのだと。
次に会うときには今度はにとりの発明を見せてもらう約束をしてその日は別れた。
帰り際、次の雨の日が待ち遠しい自分を見つけてアリスはなんだか面白くなった。


失速ー。したのでおしまい。
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