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2011-01

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いつか宇宙でこっぱみじんこ

伊達が言うには宇宙の八割はまだなにがなんだかわからないんだという。真っ暗で真空の世界。2割が光を発しない。残りはなんだかわからない。

「あれ、伊達せんぱーい、は」
「政宗?」
  最近伊達は教室にいない。
「そういやいないなぁ。ねー幸村、政宗見た?」
「あ、いや、いないならいいんだ」
そーお?、と慶次が首を傾げる。笑って顔の前で手を振って、自分で探す、と告げて賑やかな教室を後にした。
3年生になってから伊達はしょっちゅう図書館にいる。
野球部の仲間とつるまなくなった。教室で馬鹿騒ぎをしなくなった。コンビニ菓子を食べなくなって、手作りの弁当に野菜が増えた。そんで休み時間は図書館で、数学とか理科の本の、棚のところにいることが増えた。
 寒い階段を下って図書室の引き戸を開ける。からら、と軽やかな音。オイルヒーターの匂い。司書の先生はカウンターにはいない。閉じられた司書室の扉の中にいる、のかはちょっとわからなかった。なんとなく足音をひそめて、本棚の間を縫って奥へ進む。古い紙の匂い。奥に行けば行くほどリノリウムの床から冷気が匂い立つ。ビニールに覆われてなお傷みの目立つ背表紙を目で追いながら、自然科学の棚を曲がると果たしてそこにシャツ一枚の伊達がいた。
「伊達」
書架にもたれて顎に手をかけてなんだか分厚い本をやたらと熱心に読んでいる。声をかけてやっと顔を上げる。熱中さめやらぬ目で見て5秒後、やっと視認。
「あぁ?徳川か」
 3年生になって伊達は変わった。
 変わらないと本人は言う。
「進路の」
「ああ再提出か。しねぇって伝えとけ」
「どうしてだ」
野球をやめるのか、暗黙の問いかけを政宗は鼻で笑う。嫌な感じの笑いだ。下らない、と質問を嘲る笑いだ。
「テメエに教える義理ァねーよ」
分厚い本が書架に押し込まれる。がこん、と図書館の沈黙を破る粗暴な音。
爆撃のようにチャイム。
聞きそびれまいと思うのに伊達が横を通りすぎていく。自由に。両手をポケットに突っ込んですいすいと書架の間を抜ける。わしが焦りで足をもつれさせて汗だくになって追いかけるのを知らない顔で引き戸を開けて、汚れた上履きを履いた足が外へ出る。寒そうなシャツ姿。遠くから先生がチャイムが鳴ったぞと時計をさして叫ぶ。笑って片手を上げて、伊達が廊下を駆け出す。白いシャツが廊下で風をはらんで膨らむ。
「こらぁっ、伊達ェ……」
先生の声が廊下に反響。伊達が開けっ放しにして言った図書館のドアの敷居をまたげずにわしはしゃがみこむ。

伊達は野球で進学せずに北国の国立大学に行くのだという。
そこの理工学部にロケットの勉強をしに行くのだという。
そして自衛隊に入るのだという。
なにがしたいかなんて調べてみればすぐに分かる進路を伊達は。
伊達はがんとして口に出さない。

「どうしてだ政宗」
しゃがんで膝の間に顔をうずめて、息を吐けば生ぬるい蒸気が顔に跳ね返る。あっという間に冷やされる熱。
「どうして宇宙になんか行きたいと願う」



みーたーいーなー高校生パロが頭の中でランドリー!脱水!原稿してくる!
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