2010-05

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しずみか

しにたいとあなたが漏らしたので嬉しかった。
僕が代りに死ぬので生きてくださいと言ったらこれ以上重くするのかとなじられてとてもとても悲しくなった。
重荷なら僕が背負って潰されたい。背中が曲がって地面に唇がつくほど、重たい苦しい辛いと、あなたのためにヒィヒィ泣きたい。ただ耐えていたい。
そういうのってマゾっていうのかなあ。
僕は六畳間で考える。

それが、おとといの話。

昨日の話をしよう。
静雄さんの家に泊まるときは寝具がベッドで、寝相が悪いので静雄さんは僕を必ず壁際に寝かせて、後ろから僕を抱きしめて眠る。夏は暑い。愛していても。
それが許せなかった。
冬に手をつなぐ時の手袋と同じぐらいに許せなかった。

最近、僕は自分が分からない。
朝、起きて部屋に作りつけの長い鏡の前で裸の自分を見つめた途端に気付いたことが一つあって、思わず唇をほころばせたら僕のためにコーヒーに牛乳を注ぎ込んでいた静雄さんが怪訝な顔で僕に優しく声をかけた。
「何がうれしい?」
人目を忍ばなきゃいけないので、とは言えなかった。鏡の中の僕は太ももに痣を作っている。体育の時間にまた隠れて着替えなきゃならない理由が増えた。
学校で僕がいつあなたを思い出してるかなんて知らないでしょう。
知らなくていいんだ。
問われたって嘘をつく。

あなたの事を考えてない時間だって多いけれど、いつも想っていますよと笑うんだ。
僕はあなたを
好きなのかな
愛しているのかな
本当に?
心の底から?
自分が分からないのに自分の内心を暴ける筈もない。

振り返ってカフェオレに砂糖入れてくださいね、弾んだ声をあげた僕は誰を選んだか忘れてしまった。
今日の放課後に日に焼けた畳の上でする口付けはきっと夕暮れを溶かしこんだ懐かしい味がする。
行ってきますの後に付け加えるあなたの名前を間違えてみたいぐらい愛している。愛している?

これを愛だと呼ばせてくれるなら僕は夜中に目を覚まして僕を捕まえる腕に冷や汗をかかなくてもいいのか。
寝ている間に抱き潰して朝になって、腕の中を見て呆然として取り乱して取り返しがつかないことに泣いて自分を責めて後悔して後悔して後悔するあなたを冷たく硬化したまぶたの下から見たい。見えなくても。
生きたいと恐れながら僕を抱き潰さないか、呼吸を浅くして待たなくていいのか。
学校の図書館に重厚な背表紙を見せて官僚よろしく立ち並ぶ辞書は分厚いくせに僕を否定する。栞のように挟まれて窒息したいぐらいに僕の感情を定義しない。
言葉にできないならこれは何だ。
ばたんと閉じたら埃が舞ってのどが詰まった。遠くで予鈴が鳴る。

先が見えないのは僕だ。
あなたの代わりに死にたいとか言って、結局楽になりたがってる。

おととい六畳間でしにたいとこぼしたあなたが今日はため息をつく。あぐらをかいたまま。
僕はあなたの背中からミカンみっつぶんくらいの近いとも遠いとも言えない中途半端な距離で隣とも斜め後ろとも言い難い中途半端な位置からそれを眺める。
あなたの頬を涙が伝うなら顎の下をつっと滑るところまで見届けてから、その膝に乗って頤を伝うしょっぱいしずくを舐めとりたい。
ねえ泣かせたいんです。さっきから。

僕のことであなたをめちゃくちゃにしたくてたまらない。
だからダラーズなんて捨てられなくって血まみれのボールペンを机の中にしまってるんです。捨てればいいのに。

あなたが僕を暴こうとして、結果めちゃめちゃになるのが見たい。
知らないだろうし、言わないけれど。
拳を握る代わりに畳に爪を立てて虐待したらいとも簡単に食い込んだ。こういう風に背中にも傷をつけられたら少しぐらいはすっとするのに。思ったらおかしくなったから笑顔を隠すために立ち上がって、僕は手持ち無沙汰にあなたを慰めるための熱くて濃い目の緑茶を入れる。

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