FC2ブログ

2019-01

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ときめいて死ね

髪を落とされて爪をはがされた。
付け根にまだ白くてふにゃふにゃした皮がくっついたまんまの爪を、生肉むき出しの指先を掌の中にかばって歯を噛み締めてる俺の前に落として、先生は言った。
みろ、ひとつの死がここにある、と。

ざんばらにされたまま伸ばせずにいる。
同じ様に爪も短いまま。指の肉を超えた所で、めき、と天に向かって力が働くのを思い出す。
いやだ、と思って、怖い、と思って、爪を噛む。薄皮をはがして、咀嚼して、腹の中に収めてしまう。
痛みを恐れるのはいいことだ、と教えられた。痛めつける腕の持ち主も、同じ火傷の痕を脇腹に残している。
何が痛いか知って、何の痛みを恐れるか。
それにお前という性が出る。そう教えられた。火箸の痛みを知れば火矢の脅威を知ることになる。骨に肉を破られる痛みを知れば受身を取れぬことの恐ろしさを知る。痛くないと強がって死ぬもの、治療のために傷を洗う痛みを疎むあまり、傷のとこから熱が体中に広がって死ぬもの。いろいろだった。死に方に性が出る、となるほど佐助も他のやつらも納得して、そろそろと、自分の怪我を確かめるように、影が後ろにくっついてるか確かめるように、自分の痛みを振り返った。十把一からげの中で頭ひとつ飛び出て、自分より周りよりうまくやっていると思うのにひょんな事で死ぬ奴もいた。そんな時も先生らは当たり前だという顔をして、次の奴の名前を呼んで鞭を振り上げた。
子供はいくらでもいた。
一人減れば新しいのが増えるまでの当分の間自分の食い扶持が増える、その程度だった。
死にたいと思うほど生きておらず、かといって死にたくないと望むほど生きたくもなく、ただ痛みだけ、痛いことだけ、痛いなあ、と思って、あとは腹が減ったあとの飯のうまさだとか、それをうまいとは思わず、ただ感じて、走るか折檻されるか眠るか食べるかして過ごしていた。
痛くて眠れない時、腹が減って眠れない時、忘れるためにみんな体をつなげた、あとは誰かが泣いた時苛立った時惨めな時、体は全てをなだめるための手段だった。
頬にくちをつけて、首を舐める。肌を摺り寄せて腕を回す。そうすれば相手もすんすんと鼻を鳴らして受け入れる。舐めあって、慰めあって、疲れて、いつの間にか忘れて、眠ってしまう。とろとろと。

獣のようだな、と旦那は鼻の上に皺を寄せた。
まあね、と認めて佐助は自分の主人の太股の付け根に鼻先を押し付ける。ぐり、と額を左右に擦りつけて、割り開こうと促す。
「でも落ち着くじゃない?」
佐助の頭の動きに負けてうすく開いた足の間に頭を突っ込んで、旦那の下の毛のなかに鼻を突っ込む。ちろ、と舌を出して陰嚢の裏を舐めると、こら、と旦那の掌が頭を押さえた。
「んー……」
足を開いておいて今更、と。意地悪をする気持ちで両手で左右の太もものつけねを押さえる。く、と外に向かって僅かに力をかけると、慌てた様子で俺様の顔を両手で押した。
「むー!」
鼻を正面から押されて抗議の声を上げる。抵抗の手段として口を開いてべろりと掌を舐めて、ぎゃあ、と悲鳴が上がるのににやりと笑った。
「なに?こういうのの方がいいの?」
体重をかけていた両手から力を抜いて、ほっとした足が俺様の体を挟んで閉じるのを意に介さず俺様の顔をおさえている手を捕まえる。利き手の手首から人差し指の先まで舌先をつ、と走らせて、爪を歯の間にに挟んで笑った。指先を食まれた旦那の顔がかあっと赤くなる。
「ふふ……」
睫毛を伏せて。舌を目一杯使って、指の腹を上から下へたっぷりと唾液で濡らして舐めていく。指の付け根まではわせた舌を今度は上へ動かして、ちゅ、とわざと音をさせて口の中へ含む。俺様をはさんでいる旦那の足がわなわなと震えた。
「この……この……っ!!」
「はれんひ?」
指を咥えたまま言って、目を開いて旦那を見上げてまた、ふ、と笑う。
一瞬絶句した旦那が真っ赤な顔ですう、と息を吸った瞬間、ぱ、と手も口も離して顔の横で手をひらひらと降る。
「でも、ほぐれたでしょ」
じゃあ、俺様も明日早いからばいばい、と独眼竜の所でおぼえてきたばてれんの言葉を使って、どぷん、と影に沈む。旦那がばしんと床を叩いたのを聞いて、床下の闇のなかでくつくつと笑った。
明日、陽の光の下で鍛錬するときにはこんなのをきれいに忘れて清廉潔白。
体を使って慰めあうストラグルな俺様たちとはえらい違い。

ときめいて死ねと言われているみたいだ。あんなうぶなくせに、平気な顔で人を弄ぶ。


ボノボとか、貴志祐介の新世界よりとか。そういうのをしてる忍びたちかわいいし、苦痛を忘れるためにセックスに逃げる伊達とかいいなとか。

萌えねーやべーどーしようとか言いながらこんなん手癖で書いてしまう或いは書けてしまうわけですよ。なんという不実。
やめてしまうのは恋の話でライターで脇腹焦がされちゃった山小屋の思い出に近い位置づけ。笹薮の中にはササダニがいるんですよー。こわいですねー。爪の間に入られたりしたら炙った針突っ込んで焼き殺すんですよートゥットゥルー。それでも頭が残ったら爪剥がされてレーザーですよライム病こわいねー防止のための御薬の副作用は幻覚です。エキノコックス警戒してたらこのざま。Amazon仕事しろ。過剰梱包とおんなじで一枚剥がしたらみんなお芝居なんですよ。お仕事なんです。奥さんいるから養うためにあざといホモセックスごっこしてる。二次元なんてみんな嘘です。実は入ってないし実はヨーグルトだし同人誌にお金がいるのはみんな事務所にお金払ってるからなんですよね。だってそんなに都合よく行くはずない。行くはずがない。左目が見えない。右目は元から……いやなんでもないです。鼻からパンジー生やして人間貪り食うゾンビになりたいですねお盆には実家に帰れませんだからほら、
ニヤリと笑ってスマイルだっ!!!

ところで露出狂に自転車で追い回されて飛び込んだ交番に誰もいなかったので日本人やめていいですか。
だから全部嘘だって言ってるじゃないですかぁー。病んでないですって。虚言癖ですって。それも嘘ですって。
病気なんかであるはずがない。
スポンサーサイト

15分ライティング

曼珠沙華 真田主従

旦那が百合根だ百合根だとか言って掘ってきたから慌てた。
「それ違うからねちょっと!駄目だからねほら口に入れない!」
百合根だって蒸さないとおいしくないのに、ばきりと割ってまっしろなとこ舐めようとするから焦った。
茎にも、根にも毒のある草だ。水にさらしてずっと置いておけば毒は抜けるが、そうでもないのを口に入れさせる訳にはいかない。
土まみれの小さい手をおさえて取り上げる。子供の動きだ。簡単だ。ぴいぴいと喚くから木の上に逃げた。
つん、と、球根の割れ目から土と、水気の匂いが漂う。
子供は木の下で花を振り回して怒っている。槍のようだ。鮮やかな萌木の柄。花は、穂先にともる炎のようだ。

手にした球根はみずみずしく真っ白だった。俺の母親はこれに歯を立てて貪ったのかと、枝の上にしゃがんだまま、手の中の球根をしげしげとながめて、出来心で舌を出す。
舐めれば、ぴりりとしびれて、苦かった。うえ、と顔をしかめて、肩越しに遠くへ放り投げる。塀の外に出るように。子供の手の届かないところまで。
がさ、と塀の外の茂みが鳴って、びいっと子供が火がついたように泣き出した。
するりと木の上から滑り降りて、しゃがんで下から目線を合わせる。
「弁丸様」
「うつけもの!」
痛くない拳が降ってくる。うつけもの、あほう、まぬけ、と舌足らずに罵倒されながら、やわらかい子供の握りこぶしがぽかぽかと俺様を殴って、だけど泣きながらだから4回に1回ぐらいは外してしまうので、思わずにやにやしてしまった。
「さ、先の宴会の折」
ひく、と子供がしゃくりあげながら、男らしく右の腕で涙を顔ごと拭う。
「おまえがゆりねを食いそこねたというから取ってきたのだというに」
このうつけ、と泣くからかわいくなってしまった。
抱き上げるといつもより体温が高くて、遠くまで行ってきたのかな、と思う。
「あのね旦那、あれはゆりじゃないんですよ」
百合の花も知らないで、きっとこの間の雨で土手のどこか、崩れたり流されたりしている中に、花と繋がって球根だけあるのを見つけたのだろう。台所によく出入りしては、女中共にかわいがられている旦那のことだ。どうせ、百合根ってのはねえ、花の根っこで、こんなんなんですよ、とでも、ざるの上に盛ったのを見せてもらってミ覚えたのだろう。何も知らずに、持ってきたのだろう。

かわいいかわいいとあやして歩きながら、自分はあの毒では死なないのだから一口ぐらい食ってやればよかったかなと思った。





曼珠沙華で堕胎しようと思ったけど失敗した母親というはなしをかきたかった。

15分ライティング

アイドル 1:52

「あいどる……」
偶像、とかいうのだとか適当なことを辞書が言っていて、だけど辞書だから意味は。正確で。
崇拝される人とかモノとか、そーゆーの。
「ぐーぞー……」
神様か。笑えねえ。最低だ。長曾我部呪う。

そもそもはあいつが悪い。なんかまーじゃんしながら、そう、あれは伊達が親で毛利が小三元とかしょーっっっっっっっっもない役であがりやがって俺の役満ちょっとオイコラみたいなテンションでがらがら、かき混ぜて勝ち点の計算とかしてたら。
旦那が来たから。

俺様と伊達と、二人して半分立ち上がってかき混ぜる動きから、テーブルかばう?みたいな?ていうか体で牌隠す?みたいな?そんで当たり前にけしからんはれんちとかイミフに怒られたりとかして学生とはなんたるかお説教されちゃったりして。
して。
二人揃って。
ハタチすぎが。
年下に。

そゆとこ見ながら牌片付けてた長曾我部が、逆らえないとこ指してまるであいつはお前らのアイドルだな、とか。
まじしょーもないし余計なことだしていうか毛利あの時めっちゃ鼻で笑ってたし勝ち逃げされたしとにかく
長曾我部が悪いあいつ!!!

で。
アイドルとか。
ハハッまじ笑えるしイミフだしていうかアイドル?アイドルってなによばっかじゃねーの
って。

水曜日4限のタチセンの英語まじタチ悪ィし予習しねーで行って当てられて徹夜明けの頭で適当に答えたらハイ退場でうっそまじあれ必修じゃん、という。昨日の食堂の友達の不運から俺様は学ぶ学ぶ、学生の本分ですな。まじ旦那褒めてくれていいレベル、とか。
とか。
とかとかとか!!!!!

電子辞書の手軽さを俺様は呪う。
図書館の机は冷え切って気持ちいい。けどこれ長居したら風邪引くフラグだ。冷房に俺様の体は弱い。人工の風。人工の冷気。その分暑くなってく外でうおーとか言いながらガリガリ君かじってるほうがまだまし。
カーディガン持ってくりゃよかった。人肌期待して二の腕枕にしたら脂肪が冷え切ってて机とかより冷たかった。
耳たぶからぞわあ、って鳥肌が首筋まで伝わって表面だけ羽むしられた鶏とおんなじ。
鳥頭になりたいです俺様。実際あのひとは俺様のかみさまだった。前世で。電波みたいな話だ。でも本当だ。
偶像だったとか言いたくないけど。
あの人は俺様にとってまるで人間そのものでそりゃあ偶像みたいなもんでだけどかみさまで。
崇拝してたかとか、ちゃんと言えないけど、かみさまで。

調べなきゃよかった。後悔は安易だ。そうだ。あの人のために死んだ時ですら死に際で後悔だけは安易だった。
なんて。
センチメンタルに攫われて予習のやる気が吹っ飛んだのも長曾我部のせいだあの筋肉。

さいてー。

15分ライティング

お題は病気、青、影です。 shindanmaker.com/115553 25分から


忘れるとか忘れないとか忘れてとか忘れないでとかぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ。
眠っていたら角が、ちいさな角が、やわらかい、陰嚢みたいにやわらかく厚ぼったい皮膚に覆われて生えていた。
わあ、と思う。角といえば、犬歯みたいな。鮫の歯の化石みたいな。小さくて、鋭くて。
そういうのじゃ、ないの。
だけど角だという。
「鹿とかに似てるよね」
楽しそうに人差し指と親指で摘んで、ぐにぐにと弄んで遊んでいる。人の頭の上で。
「若い、子供の鹿の、生え立てのつの。」
つのつのつの、と歌うように言う。
「いいよね。若い鹿とか、おいしいし」
鼻の上に皺を寄せて歯を見せて、狐みたいに笑いながら、体を屈めて角を覆う皮膚にくちをつける。
「いい」
うっとり、言う。
「よくなどあるか」
佐助がくちをつけた所がむずがゆい。
「なにかの病気であろう」
「そうかなあ」
だとしても、と俺のつのに口をつけたまま佐助がとろとろと言う。
「季節が変われば抜け落ちるんじゃないのかなあ」
いいじゃない、伸びたら兜飾りいらなくなるよ。
うれしそうに言うから無防備な腹に拳を入れてやった。ぱしん、と俺の拳を素早く差し込んだ手の平で受け止めて佐助がふっと真面目な顔になって俺を見る。離れた体、夕方の青い空気が俺と佐助の間に鉄砲水のように流れこむ。とうとうと。音もなく俺と佐助の間に青い空気が満ちる。佐助の畳に落ちた影が冷たそうに黒い。
「いいじゃない」
「よくなどない」
「いいじゃない……」
目尻をほころばせて、泣きそうなのか笑っているのかしんみりしているのかよくわからない顔で、畳の影に目を落とす。そんなでも、旦那は、ふつうだから、いいじゃない、などと。首をひねって俺から逃げて、畳を見ながら言うものだからつられて畳に目を落とした。
さすけが、ふふ、と何かに目を滑らせて静かに笑う。
なにを見たかと同じ様に目を滑らせると、足元でわだかまる青い空気の向こう、水底のような畳の上に人の形の佐助の影の横に並んで、額からふたつ、まあるいつのを盛り上がらせて、俺の影がうつっていた。

22:37。限界!

内蔵足りてない系習作

脱がされるのも触られるのも嫌いだった。だって、中身が入ってない。当たり前にみんな生まれつきで持ってるのが、足りない。肋骨とか、腎臓、肝臓、そういう取っても平気なやつは小さい頃にみんな抜かれて、その分軽くなった体で、ひとには言えないことをする。忍んだり、潜ったり、抜けたり、いつの間にか後ろにいたりする、そのために人並みよりうすっぺらいのを、鎖帷子とか腰当とか、重くって大袈裟なので覆って、隠している。
それを暴くのはひどいことだ。せっかく隠してるのをわざわざ脱がして、腹を触って確かめる。
「や、だって」
男なのに乳首きもちいいとか、そういうのより、旦那の指が肋骨を数える、そういうのの方がずっと嫌だった。
「ね、も、おねが……」
腕で顔を隠す。旦那の手が腹をぐうっと押して、押しただけへこむのが泣きたいぐらい嫌だと思った。
だってそこにはなんにも入ってない。
最初に下腹刺すんだよと教えたのは自分だ。ひとりでいるとこ狙う時にはね、最初にここ刺すんだよ、と触らせた。あの頃にはまだ人並みに備わってた。生まれついたまんまだったから、無防備に旦那の手を取って触らせた。
ここのね、骨の下。この骨がね、中のやらかい内蔵守ってるのの最後だから、この下刺すんだよ。
そしたら息が詰まって声が出なくなるから、仲間を呼ばれたりとか、めんどうが減るから。
最初にここ狙うんだよ、と、槍を覚えたばかりの子供に教えた。俺様に手取られて俺の腹さわったまま旦那は目をみはって考えて、しかし、それは忍びの技でござろう、とまだ甲高かった声で答えた。
それに、どう答えたのかが思い出せない。旦那の手はまだ、ありもしない肋骨を探して腹の上をさまよっている。
嫌だ嫌だと思って下腹がぞわぞわする。腰骨に指が触ると気持ちいいのになんだか怖い感じがした。性器が疼く。
「ね、旦那」
やめてよ、というのが声にならない。旦那の指が、削られて人より狭い腰の骨をなぞる。
声を我慢して息を詰めている固い体に、人並みのものさえ入っていたらもう少し、違ったのかなと思う。触られてもこんなに嫌だったり、ぞわぞわしたり、剥き出しの神経触られてるみたいな感じにならないのかな。かすがみたいに、潰されたり削られたりする前にあそこおん出てたら、こんな惨めで気持いいの、知らないですんだのかな。
そんで、あの時俺様なんて言って旦那納得させたっけ。
「……ふ、」
旦那が腹に息を落とす。
「おまえはさかなか」
「は?」
割と間抜けな声が出た。目を覆ってた腕をずらす。旦那が眉間に皺を寄せて腹を見ていた。
「川魚のように生っ白い腹をしおって」
「え、なに」
「15のころまでは見えておったのに」
ちょっとだけ残ってる骨の付け根を旦那の親指が押す。まるい爪が肉に刺さるのより、削られたあと、伸びてこなかった骨が内側から肉に刺さる方が痛かった。顔をしかめる。確かに13ぐらいだった。あれぐらいの時に抜かれたり潰されたり削られたりして、ただでさえみみず腫れとか腹開けて閉じた跡が残ってる体に、肋骨足りないのがくっきり出てた。それも誰も彼も傷とか持ってる甲賀じゃなくて、奉公に出された先でそれが目立つのが嫌で、15になって背が伸びたぐらいのころに吐いたりするの我慢しながら色々食べたりして肉をつけた。特にがりがりで肋骨どころじゃなくて胸骨浮いてた腹に腹筋つけるとぺったんこだった腹がなんとか、なんとなく普通っぽい感じになって、それが嬉しくてずっと鍛えてた。17ぐらいまで成長期来なくて、背が伸びなかった旦那にさんざんあれこれ言われたけど、肋骨とか、息すごい吸っても浮かなくなるまで頑張ってた。
「えー、だっ、て」
ちん毛の生え際いじられると息が乱れる。
「みっともない、じゃない。見えてたら」
「何故だ」
見下ろしてくる旦那の目が、濡れているからどっかの光を反射して表面だけ光る。
なんで、とか、ばかな事を聞かれたと思った。
抜かれた後、起きれるようになって真っ先に着物まくって自分の体見て、うわ、って思ったのだ。うわ、なにこれ、すごく薄い。
どうしよう。これ、見られたら中身入ってないって一発でバレる。外側は毛が赤かったり顔んとこ入れ墨入れられてたりだけど、中身だけは人とおんなじだったのに。
どうしよう、と思って、明らかに中身足りてないぺったんこの腹見ながらすごく途方に暮れた。これじゃ、夏、暑くても脱いだりとか二度とできない。だって明らかに足りてない。骨んとことか、もとからがりがりだからすごい目立つ。

だから、筋肉付けた時に隠せるってわかったときすごく嬉しかったし、鎖帷子とか、自分用に貰えるってなった時には腰回りとかそのへんすごく厚くした。かすがには再会したとたん何だその重そうなの、とか顔しかめられたけど、どうだってよかった。

だっていうのに、旦那はするときいちいち全部脱がして暴いて、足りてないとこわざわざ触る。
挙句の果てに何で、とか、もう、考えたくもなかった。触られながら考えんのも説明すんのもめんどくさい。
「あー、のね」
目をそらして天井を見た。暗い。けど、月が出てるから障子の向こうがほんのり明るくて、木目がぼんやり浮かんでいる。小さいころ旦那が、顔に見えると言って怖がった模様。
あんたにはわかんないでしょうけどね、という前置きは飲み込んだ。
「見せないで済むなら俺様そっちの方がいいの」
「だから、」
なぜだ、と聞いてくるのを唇に手を当てて黙らせる。唇が、かわいてて、やわらかくて、いいな、と思った。ふにふにしてて気持ちいい。旦那が唇を尖らせて押さえた指を押し返す。
「最後まで聞いて」
「むむ」
うむ、と言いたかったのはわかったから唇から手を離した。旦那が粘膜に光を反射させて、きらきらする白目で見下ろしてくる。
「こことか」
腹を下からなぞりあげるとひゅっと腹筋が締まった。眉根を下げて情けない顔をする。そういうとこが、旦那はめちゃくちゃかわいいと思ってちょっと笑った。
「普通は、押してもへっこまないでしょう」
指先で押す。はちはちの皮膚が指を押し返して、確かな手応えの手触りがある。肉だけじゃなくて、ちゃんと中身が詰まってるってしっかりした手応え。
「ちゃんと骨もあるでしょう」
肋骨引っ掻くようにして触ると居心地悪そうにもぞもぞする。
「俺様ね、そういうの入ってないの。でね」
手を離すとあからさまにほっとした顔をした。それを見て、誰でもあのへん触られるとざわざわすんのかな、と思う。すればいいな、と思った。
中身足りてないせいだと思ってたのが、実はみんな感じる普通の事だったら嬉しかった。
「俺様足りてないの、知られたくないの。見せたくないの。」
当たり前に受け流す。入ってないですよ、って、何とも思ってないって顔で飄々と、驚かれたりするのにうん、って、足りてないよ、って返事する。でもやっぱり、本当は嫌で、だから忍びだからって理由で厚着したり、腹筋つけたり、隠れて気にしてるのを見せないようにしてきた。
それを今更この人の前で晒すのが、いたたまれなくて顔を両手で隠す。
「中身足りてない、っていうのが、やなの」
言ってしまった瞬間すごく後悔した。鼻と口だけが出た自分の顔に旦那の顔が近づく。
ぐす、と鼻が鳴った。それも嫌だと思う。嫌だ嫌だ嫌だ。けど体とか、中途半端に興奮してて、逃げてどっか、便所とか布団部屋とかに隠れて一人でするのを考えたらそっちの方がもっと嫌だった。
鼻息が頬の産毛にかかって、唇に、熱っぽい旦那の唇が押し付けられる。触るだけのくちづけが、動物みたいだと思った。犬とかが、泣いてる時に近寄ってきて鼻面押し付けて舐めてくるのに似てる。泣いたこと自体があんまり
なかったから、そんなにされたことはなかったけど、城の中庭で顔中べろんべろんされて逆に笑ったのをちょっと思い出してうれしいな、と思った。
「ね」
唇を無理に動かして声を出す。
「旦那、すきだよ」
そういうふうに体でなんとかしようとするとことか、すきとかあんまり言うと重みがなくなる、と言って怒るとことか、すごくすき。
ささやいて顔から手をどける。
「すきだよ」
ふうっと、月の上を雲が通ったのかうす青くほの明るい部屋が一瞬藍色に沈んで、また水底の色を取り戻す。
「すき」
続きしようよ、と声に出して背中を起こす。自分に馬乗りになった旦那の胸んとこに唇当てて、ふふふと笑った。
「中身足りなくても気持ちいいとこちゃんと残ってるから」
ね、って口に出して、皮膚くわえてきゅっと吸う。すぐ消えるように跡つけて、唇離して、旦那のはだかは好きだな、と思って、なんだかすごくむらむらした。



劇場版さっけの腰がかすがちゃんより細かったのが一番の衝撃だった。

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

Q子

Author:Q子
東軍と佐助。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

bsr習作 (1)
告知 (2)
\デデーン/ (2)
ヒッキーさなだくん (3)
いろは譚 (1)
小十佐 (6)
家政が宇宙 (4)
伊達佐 (14)
いえまさかもしれない (12)
幸佐 (11)
デュラ (26)
お知らせとか (1)
bsr (1)
東方 (5)

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。